アトピー性皮膚炎を治療中のオーナー様のほとんどがそう思っていらっしゃると思います。
アトピー性皮膚炎の発症は3歳未満がほとんどです。
また、治療の根幹はどうしても飲み薬になってしまいます。そんな中、こんなお声をよく耳にします。
副作用が怖い。ずっと飲み続けて大丈夫なのか?
ということで今回はアトピー性皮膚炎の治療薬をできる限り減らすお手伝いが出来たらと思います。
お時間のない方は下のまとめまで飛んでください。詳しく知りたいという方はこのままお進みください。
アトピー性皮膚炎とは?
まずは前提から。簡単に言えば
「外から入ってきたアレルゲン(花粉やハウスダストなど)に免疫が反応して炎症を引き起こす病気」です。
治すことはほとんどできません。
私が以前学んだセミナーでは
「火事が起こり家に火が付いた状態」と習いました。この
家に火が付いた状態
というのはかなり重要です。その話はまた後ほど。。。
診断は?
現段階では以下の項目に当てはまるかで診断を下していきます。
このうちの5つに当てはまるようであれば私たちはアトピー性皮膚炎として治療していきます。
ここでは既に内服薬を始めているワンちゃんの治療に関するお話のため、減感作療法については割愛させていただきます。
治療は?
・かゆみ止め(アポキル、ステロイド、免疫抑制剤など)がメインになります。
サブの治療に
・皮膚バリアの強化
・腸活
が挙げられます。
メインの治療(かゆみ止め)は即効性があるため私たち獣医師もオーナー様も頼りがちになってしまいます。
その結果、「お薬漬けで大丈夫なの?」という心配の種が沸いてきます。
ここで先ほどの「家に火が付いた状態」が再登場します。治療に当てはめると
かゆみ止め=鎮火作業
だということです。つまり治療がかゆみ止めのみの場合、「鎮火作業をしているだけ」というお話です。
どうでしょう?そんな家に住みたいでしょうか?鎮火作業でやっと火が消えた。じゃあ作業(お薬)中止しましょう。・・・また火事が起きました!!じゃあ作業(お薬)を再開しましょう!!
・・・とても住み心地の悪いおうちになりそうです。
アトピー性皮膚炎は冒頭でお話ししたようにほとんど治る病気ではありません。そのため、付き合い方が重要です。
そこで、サブの治療として挙げた「皮膚バリアの強化」と「腸活」のお話になります。
皮膚バリアの強化と腸活は家の話に置き換えると「火の付きにくい家に建て替えること」です。
実際に色々な論文で、
・皮膚バリアの強化により痒みが改善したりお薬の量を減らしても痒みの維持ができた
・腸活(腸内細菌を増やすor育てること)を実施したらかゆみ止めの量や頻度を抑えることができた
というお話があります。
皮膚バリアの強化とは?
アトピー性皮膚炎のワンちゃんは健康なワンちゃんと比べるとセラミドが少ないといわれています。
セラミドとは肌の保湿に超重要な脂質になります。セラミドが少ないと
「肌から水分が蒸発する→乾燥する→炎症を引き起こしやすくなる」
こんな悪循環に入ってしまいます。
セラミドを増やすには?
保湿剤やサプリメントを使ってみる。ただし最低でも3か月です。実際に3か月サプリメントを服用したワンちゃんのセラミド量を計測するとしっかりと増えている報告があります。保湿剤も先ほどお話したように使い続けることで内服薬を減らせたという報告があります。
保湿剤は、スプレー、スポット、クリーム、軟膏などさまざまな形状の外用薬があります。
また、サプリメントでしたら有名どころはアンチノールでしょうか。
これらを毎日続けるので続けやすいものをとにかく選んであげてください。
腸活とは?
プロバイオティクス、プレバイオティクス・・・お聞きになったことはありますでしょうか?簡単に言えば
プロバイオティクス=有益な腸内細菌を外から足す
プレバイオティクス=有益な腸内細菌を育てる
そんなイメージです。具体的な治療は整腸剤を服用することです。人間でも流行っている「腸活」ですね。
まとめ
お話が長くなってしまいました。まとめますと、
アトピー性皮膚炎には3つの治療の柱があります。
・お薬
・皮膚バリアの強化
・腸活
これらを合わせることで飲み薬の量や投薬頻度を減らすことができますよ。
というお話でした。今現在皮膚病でお悩みの方、まずは3か月間やれることをやってみませんか?
周りの皮膚病でお悩みの飼い主様がいらっしゃいましたら教えてあげてください。
アリス動物病院(習志野市谷津)