症例報告その③ (目が飛び出てしまったワンちゃん)
目が飛び出た状態は医学的には「眼球脱出」あるいは「眼球突出」と言います
主に外傷(どこかにぶつけてしまったなど)や骨折、腫瘍などが原因で起こってしまいます
先日、「昨夜から目が飛び出てしまっている」というお話でチワワさんがいらっしゃいました
どうやらおうちの壁にぶつかってしまい突然飛び出てしまったようです
チワワさんは目が脱出しやすい犬種です。なぜでしょうか?
これはチワワさんの骨格が原因となっており、
「眼窩(眼球が収まっている空間)が浅いため眼球が飛び出しやすい」のです
お話を戻しますが、眼球が飛び出てしまった場合には迅速な応急処置と適切な検査が必要です
検査内容は
- 目に傷はないか
- 目の中に炎症が起きていないか
- 目は見えているのか
などを確認します
検査結果によって眼球を摘出するのか温存するのかを決定します
今回のチワワさんは来院時に眼球が脱出していて目が見えていない状況でした
スリットランプ検査や超音波検査を実施したところ
- 目に傷はあり
- まぶたの強い腫れ
- 白目が赤い
- 目の中に炎症なし
- 目は見えていない
- 網膜に異常なし
以上の検査結果から眼球摘出術ではなく眼球整復術(温存)を選択しました
以下、手術の写真になりますのでご注意ください


眼球が脱出しており、白目は真っ赤です
まぶたが目の裏側にひっくり返ってしまっているため、まぶたをピンセットで掴み糸をかけます
そのまま眼球を軽い力で押し込むと・・・

ものの数秒で眼球が元の位置に戻りました
目の真ん中やや右側には傷があります(黄緑色に染まっている部分です)
目の周りの炎症が強いためこれで終わりにしてしまうと再脱出してしまう可能性がありますので

一時的にまぶたを縫い、まぶたをほとんど閉じた状態にしつつ、手術当日に退院
炎症止めのお薬で腫れが治まるのを待ちます(写真ではわかりにくいですがまぶたが赤く腫れています)
4日後・・・

無事に抜糸をし、再度眼科検査をしたところ、視力は回復しておりました
また、目の傷もすっきりと治っておりました
眼球脱出は急なことでパニックを起こしてしまうと思います
まずは落ち着いて病院に連れていき、しっかりと眼科検査をしてもらい適切な処置をしてもらってください
お困りの際はお気軽にご連絡あるいは足を運んでください
アリス動物病院習志野


