新型コロナウイルスによって取りざたされ、少し身近なものになったワクチン。メリットやデメリットが様々です。
メリットはもちろん「病気の予防」や「感染・発症したとしても重症化するリスクを減らす」ですね。
それに対してデメリットは、、、
- 顔がはれるなどのアレルギー
- 体調不良(数日食欲や元気が低下)
- 注射部位の痛み
- できものができる
などなど様々です。なかでも「できものができる」というのは怖いお話です。特にネコちゃんにフォーカスしたお話です。
ワクチン反応性肉腫
ネコちゃんによく見られるしこりです。現在は「注射部位肉腫」と言います。肉腫というのは悪性腫瘍に分類される腫瘍です。
できてしまった場合には一般的に外科手術になるのですが、ただ摘出すれば完治というわけではありません。
腫瘍細胞を取りきるために大掛かりな手術、結論から言えば、「断脚・肩甲骨や背骨の一括切除」となってしまいます。
なぜそのような大掛かりなものになるのでしょう・・・?
その前に腫瘍の簡単な説明をしていきます。
腫瘍について
腫瘍は英語でcancerと言います。また、cancerは「大きなカニ・かに座」という別の意味も含みます。
大きなカニといえばタカアシガニを想像していただくと分かり易いかもしれません。とてつもない長さの足をもつあのカニですね。
話を戻しますと、腫瘍はその大きさにかかわらず、皮膚や内臓などにできてしまった「しこり」の印象が強いと思います。
この「しこり」は、皮膚や内臓の細胞が異常に増えてしまった結果としてできたものです。
それだけに留まりません。しこりはあくまでも氷山の一角なのです。
実は、しこりは(まるでカニの足のように)周囲の正常な細胞のすき間を縫って足を伸ばしていきます。
水面下でとんでもないことが起きているんですね・・・
今回のお話に出た「注射部位肉腫」から出る足はタカアシガニのようなとてつもない長さになります。
治療
・注射部位肉腫はとても長い足を伸ばす腫瘍
・治療は基本的には手術
・手術は腫瘍細胞をすべて取りきることが目標(再発を防ぐためです)
以上の点から、断脚や肩甲骨を切除する大掛かりな手術が必要になります。
対策
現実的かつ簡単な方法として、
ワクチンを接種する日は前もってご連絡をいただく
こちらが一番理想的だと思います。
ワクチンは普段、冷蔵保存してあります。皆様がいらっしゃった際に冷蔵庫から出してそのまま注射します。
今回の注射部位肉腫ができてしまう原因の一つに、冷たいままのワクチンを注射することが挙げられるそうです。
つまり、事前にご連絡をいただくことで常温に戻してから接種することが可能となります。
まとめ
ワクチンを接種する日はあらかじめご連絡ください。可能であれば来院15分前が理想的です。
ワクチンは常温のまま放置しておくと効果がなくなってしまうためです。