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お知らせ

膵炎という怖い病気のお話

急性膵炎を発症してしまった子が来院されたので「膵炎」についてお話します。

「膵炎」とは・・・?

膵臓が何らかの原因で炎症を起こした状態です。
原因としてはホルモンの病気や高脂血症(中性脂肪やコレステロールが高い)、ゴミ漁りなどが挙げられますが明確な原因はわかっておりません。

症状について

  • 何度も吐いてしまう
  • ご飯を食べない
  • うんちが柔らかく血が混ざっている
  • うんちが黒い

などの症状が急に始まります。嘔吐や下痢は脱水を引き起こし、脱水は膵臓に悪影響をおよぼすため、

膵炎→嘔吐、下痢による脱水→膵炎の悪化→嘔吐、下痢の悪化→…

と負のサイクルに陥ってしまいます。また、膵炎は全身へと炎症を引き起こし死に至ることもある怖い病気です。

治療について

膵炎と診断がついたら、上述したように脱水に対する早期治療が重要となります。

  • 制吐剤により嘔吐を止める
  • 静脈点滴により失った水を補う
  • 炎症を抑える

これらの治療により食事が摂れるようになりましたら低脂肪の食事を開始します。(脂肪分の多い食事は膵臓に負担をかけてしまいます。)

当院で診断された急性膵炎のワンちゃんの治療経過

「朝からごはんを食べず、何度も吐いている」ということで来院されたワンちゃんです。

すぐに血液検査と超音波検査を実施しました。

血液検査ではリパーゼ(膵臓から分泌される消化酵素)の値は測定不可能でした。

超音波検査では

少し見えづらいかもしれませんが、赤で囲まれた部分が膵臓です。周りより暗くなっているのが炎症を起こしているサインです。

こちらは十二指腸です。
波打っている様子が炎症を起こしているサイン(コルゲートサインといいます)です。

この写真は胃袋です。(赤で囲まれた部分)
膵臓の炎症が原因で胃が動かず液体が溜まっております。

これらの結果から「急性膵炎」と診断しました。

すぐに入院を開始し、点滴と吐き気止め・炎症止めの注射を投与しました。
入院4日目の十二指腸の写真がこちらになります。コルゲートサインがなくなっております(右の写真と比べるとわかりやすいですね。)

治療から6日目にはリパーゼの数値は基準値に低下し無事に治療終了となりました。

今回のワンちゃんは膵炎を早期発見し治療をすぐに開始したことで短い入院で済みました。
急性膵炎はいかに早く治療に進めるかが重要となります。

・吐いてしまう
・ご飯を食べない
・元気がない

と普段と異なる様子が見られた場合にはすぐにご来院ください。

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